血管迷走神経反射とは、注射や点滴を行う際に恐怖心から副交感神経が過度に緊張してしまい、徐脈あるいは血圧低下が起こり、一過性に脳血流が低下し失神状態となることです。
一方、注射や点滴により薬剤を投与する際にはその薬剤に対しアレルギー反応が起こる場合があります。その際に血圧低下や意識障害を伴うとアナフィラキシーショックとなります。
鑑別
簡易な鑑別としては、血管迷走神経反射は徐脈であることが多いですが、アナフィラキシーショックでは頻脈であることが多く、皮膚症状が出ていたりします。また、血管迷走神経反射の場合針刺入と共に起こりますが、アナフィラキシーショックは薬剤が投与されて数分後に発症することが多いです。
※疼痛によっててんかん発作が引き起こされて失神することもありますが、てんかんの場合けいれんの有無が鑑別の目安となるでしょう。
血管迷走神経反射の対応
血管迷走神経反射の場合、前兆があれば仰臥位とするなどして転倒を予防します。下肢を挙上し頭部への血流を促します。(一過性脳虚血の改善のため)
低血圧が改善しなければ乳酸リンゲル液や生理食塩水をDIV する場合もあります。
もし強い徐脈があればアトロピンを投与します。
アナフィラキシーショックの対応
アナフィラキシーショック、あるいは心停止、もしくはそれに近い場合はアドレナリンが第一選択になります。(アドレナリン0.2~0.5㎎筋肉注射)
一番大切なことは気道をきちんと確保すること、脳血流を確保することです。バイタルサインを確認し、O2投与の検討をします。
血管水分量が減少している、あるいは座位によって心室内に十分血液が充満していない場合、アドレナリン投与によって心臓の空打ちが起こり、拍出量が低下したり、心室細動が誘発されてしまうので、ルートが確保できていれば細胞外液を大量に投与します。
※血管内水分量が減少している、あるいは座位によって心室内に十分血液が充満していない場合、アドレナリン投与により心臓の空打ちが起こり、拍出量が低下します。
あるいは、そのことにより心室細動が誘発される危険があります。
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